菊の香にくらがり登る節句(せっく)かな      

元禄七年(一六九四)五十一歳の作である

 

句意

 

 あたかも重陽の佳節の朝まだき、さわやかな菊の香を慕いつつ、ほの暗い山

路を踏み分けて、名も暗がりの峠を登ったことである。

 

 

 「くらがり峠にて」との前詞がある。

「くらがり」は奈良〜大坂の旧街道八里(三二キロ)のほば中間、生駒山地に

ある峠である。

 

 峠越えは実際には昼過ぎだったろうが、峠の名をきかせて未明の山路に菊の

香をきくさわやかさを演出した。

 

句碑

 

東大阪市東豊浦町 勧成院   東大阪市東豊浦町 枚岡公園

 

 

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