菊に出て奈良と難波は宵月夜      

元禄七年(一六九四)五十一歳の作である

 

句意

 

 菊薫る重陽の朝、古都奈良を出て難波の旧都に着いた時分は日もすでに暮れ、

空には九日の宵の半月が美しく光っていた。

 

 

 「九日南都をたちける心を」とあり、また書簡には「重陽の朝奈良を出て大

坂に至り候故」との前詞がある。

 

 「奈良は菊に出て難波入りは宵月夜のころ」の意を、中七に「奈良と難波」

と二つの古都を並べて曲折もつけ、拍子面白く詠んでいる。

 

「宵月夜」は宵の間だけ出て消える新月の頃の月である。

 

句碑

 

天王寺区生玉町 生国魂神社

 

 

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