此秋は何んで年よる雲に鳥
元禄七年(一六九四)五十一歳の作である
句意
 芭蕉にとってこの秋はまさに人生の終りの秋だったのだろう。ことにその身に深い老いを感じていた。秋風に運ばれるように雲は流れ去っていき、雁は北に向って発つ。芭蕉の死期が近づいている。
 「この秋は何で年よる」は「軽み」の主張につながる俗語的な表現で、思わず口をついて出たような深い味わいがある。                「雲に鳥」は雲間にかすかに消えていく鳥という具象物をおき、そこには芭蕉の「旅懐」が託されている。自分の存在はあの雲の中に消えていく鳥の影のようにまことにはかない存在にすぎない。
天王寺区伶人町 星光学院-蕉蕪園
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