草の戸や日暮れてくれし菊の酒      

元禄四年(一六九一)四十八歳の作である

 

句意

 

 今日の重陽の節供、世人は早朝に菊の酒を祝うのに、不如意な草庵に暮す自

分は日も暮れるころ、人から酒を貰って祝っていることだ。

 

 

 「笈日記」に「九月九日、乙州が一樽を携へ来りけるに」との前詞がある。

 

「日暮れてくれし」に草庵での世離れしたさまを言いこめている。「くれし」は

「貰う」と同義語で、くれた乙州の厚意を重んじた表現である。

「菊の酒」は重陽の朝、杯に菊の花をひたして長寿を祝って飲む酒である。

 

 

大津市馬場町 ときめき坂

 

 

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