叡慮にて賑ふ民の庭竃      

元禄一年(一六八八)四十五歳の作である

 

句意

 

 いま新年の風習に、民の家々で庭竃を作って、にぎやかに遊び楽しんでいる

のも、かの仁徳帝の有難い思召しのおかげというものである。

 

 

 「仁徳天皇(高き屋にのぼりてみれば)との御製のありがたさを今もなほ」

との前詞があり、謡曲の「(高き屋に登りて見れば煙立つ民の竃は賑ひにけり)

と叡慮にかけまくも、かたじけなくぞ聞えけり」による。

 

「庭竃」は正月三ガ日間、土間に新しい囲炉裏を切って薪をたき、囲りに主人

家族、奉公人らが集まって大服茶、酒、焼餅などを飲食して団欒する民間行事

である。

 

 

大津市坂本 滋賀院

 

 

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