命二つの中にいきたる桜かな
貞享二年(一六八五)四十二歳の作である
句意
 芭蕉が「命」という語を使うのはよくよく感動したときである。西行の「小夜の中山」に通じるからであろう。立派に成人した十九年ぶりの土芳との再会は「命なりけり」の感慨を大いに感ずるものであったに違いない。まして息せき切って追ってきた土芳の心根を知ればその想いは昂ぶっていたことであろう。
 土芳は寛文五年「貞徳翁十三回忌追善俳諧」で、名声を博したのを機に迎えた芭蕉の第一号弟子で、当時九歳であった。その後芭蕉は旅に、土芳は公務に出かけていたが、芭蕉の後を追った土芳は貞享元年、水口で十九年ぶりに芭蕉との再会をはたした。
甲賀郡水口町京町 大岡寺
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