木のもとに汁も膾も桜かな
 元禄三年(一六九十)四十七歳の作である
句意
 桜の木の下で花見をしていると、そよ風にも花びらがひらゝと舞い落ちてくる。みる間にあたりは落花狼藉という状況だ。汁も膾も盃も重箱もみな花、花となっている。春たけなわであり、そして風流な花見である。
「汁も膾も」という和歌の世界では詠まない俗な言葉で、春の詩興を美しく表現している所に、芭蕉翁の俗中に雅を求める思想が表現されている。芭蕉の会心作で、自ら「軽み」の句と評した最初の句である。
甲賀郡甲西町三雲 園養寺 大津市膳所中庄 戒琳庵
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