旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
元禄七年(一六九四)五十一歳の作である
句意
 旅に病み夢うつつの中で、芭蕉は枯野をさまよい歩いている自分の姿を見ている。夢においてさえ何かを求めつづけ、歩きつづけている自分の妄執の深さを見た。そして目茶苦茶に駈けめぐっている思いつめた自分の姿を見た。
 死を真近かに予期した芭蕉の網膜に映る一生は、枯野の旅人というイメージの中に象徴的表現を見出して、それを荒々しく単刀直入に詠った。
大津市馬場町 義仲寺 大津市茶臼山 芭蕉会館
MENU MENU7