今日ばかり人も年寄初時雨

        元禄五年(一六九二)四十九歳の作である

 

句意

 

 時雨の寂しさは枯淡の境地に達した老いの心にふさわしい。折から降り出し

た初時雨に、若い人たちよ、今日ばかりは年寄りの心境になって、この寂びた

情緒をしみじみ味わってほしい。

 

 五吟歌仙の発句であり、句会において一座の許六らに呼びかける形で、時雨

の寂びを愛でた句である。

 

句碑

今津町浜分 石田墓地

 

 

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