Vol.9
この村に限らず、近代化に対する考え方ははっきりしている。外国からの訪問者によって新しい文化や文明がどんどん入ってきているからこそ、自らの文化を大切にすることにこだわり続けている。
しかし、子どもたちはその影響を受け始めている。
大地と共に生きることを大切にしてきた大人たち。とりわけ長老たちの心配は尽きない。長い葉っぱをきれいに束ねたほうき、子どもたちの食器は金属製の皿が一
つ、テレビと冷蔵庫が1台ずつあるが電気は夕方5時からしかこない。
訪問者のためのトイレやシャワーはあるが、すべて自然の中で用を足す。歯磨き
は「ニーム」という木を使う。木の枝を噛んでいると繊維がほつれ歯ブラシのようになる。木に含まれる成分も歯によいと言う。しかし、子どもたちは小川の水で「歯ブラシ」を使って歯を磨く。
「遅れている」という言葉はここではなじまない。ほんの1週間の生活だからか、何の不自由も感じなかった。なければないで案外ゆとりが生まれたりする。人と人の
コミュニケーションがしっかりと生まれると感じた。
「民衆劇」とともに村々で行われる伝統的な踊りなどを披露する「フォークシアター」がある。娯楽の少ないダリットの村々をまわって楽しんでもらう。
民族衣装を身にまとい、実に堂々と踊る子どもたちもARPの子どもたち。日々の学習と共に伝統芸能を学んでいる。
古典的なものから現代的なロックのリズムにあわせて歌い踊る子どもたちはみんな輝いていた。
文化を守る取り組み