Vol.11
日本を出発する前、現地のスタッフから依頼があった。「貧しい?現地の子どもたちにおみやげを持ってきてほしい」と。
我々参加者はカバンいっぱいに文房具やおもちゃを詰め込んでARPに着いた。しかし、「早くプレゼントを渡して子どもたちの喜ぶ顔が見たい」と思っていた私たちも、そこでの生活が始まったとたんに何か割り切れないもやもやとした気持ちになった。

どの村を訪れても貧しい生活にもかかわらず、暖かい飲み物やお菓子を振る舞い、村人がお金を出し合ってタオルをプレゼントしてくれる。
仕事を休んでまで私たちを歓迎してくれる村人たちの生き方から考えさせられた。
ある時「ボールペンちょうだい」と近づいてきた女の子がいた。
「なんだこの子は・・・・」と思った私は確かめてみた。すると、すでに個人的にプレゼントをもらった子がいたからだ。そうなると子どもたちは我先に品物を要求するようになる。
当たり前のことだ。品物を通してのつながりしかできないことは寂しいことである。
何人かの参加者がそのことにこだわり悩んでいた。コーディネーターの池住さんやフェリックスさんはその思いをしっかり受け止めてくれた。
「国際協力、援助のあり方」をテーマにして話し合うこともできた。
おみやげは最後の夜、お別れパーティーの中で、フェリックスさんから一人ひとりの子どもたちに丁寧に手渡された。
生活や対話を通してこそ本当に必要なもの、必要なことを自らが見つけなければならないと痛感した。
ほんとうにつながるとは