参加型学習・用語資料集 A
ゲーム(game)
学習の進行に遊び的要素を取り入れたもの。
シミュレーションとあまり意味は変わらない。
「権威の教育」と「変革の教育」
「知識伝達型」教育では、先生は生徒がなにも知らない、なにも持っていないことが前提となり、時には、ただただ一方的に生徒に知識を詰め込六だけに終わってしまうことにもなります。これを「権威の教育」とも言います。
「問題提起型」教育での先生の役割は大きく異なってきます。生徒一人ひとりは、それぞれ異なった豊かな経験・知識・技術・アイデア・関心・パワーを持っている、ということが前提となり、先生の役割は「質問する」こと、生徒の考え・声を「聴く」こと、それによって生徒が持っている豊かなものを「引き出す」こととなります。グループ活動を活用して、生徒同士、あるいは先生の持っている経験・知識も生徒のそれと重ね合わせながら、なにが問題なのか、なぜそうなのか、どうしたらよいのか、などを「一緒に考え合う」こともできます。また、問題提起・問題提示のきっかけとして簡単なゲームやエクササイズ、絵、写真、ポスター、スライド、ビデオ、物語、詩、言葉や文字などを用いた体験学習など工夫することによりいっそう効果を上げることができます。これを「体験的参加型学習」と呼んでいます。こうした教育を、「変革の教育」または「解放の教育」とも言います。
交通バリアフリー法
2000年11月15日より施行の「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」のこと。
「この法律は、高齢者、身体障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性が増大していることにかんがみ、公共交通機関の旅客施設及び車両等の構造及び設備を改善するための措置、旅客施設を中心とした一定の地区における道路、駅前広場、通路その他の施設の整備を推進するための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」(第1条目的より)
参加型学習
知識中心の講義型の学習や、教えるものと教えられるものとの関係を固定化した一方通行の学習に対して、教えるものと教えられるものとの関係が固定化されず、参加者の相互作用による理解が図られる。学び方重視の学習でもある。
ジェンダー(gender)
男女の生物学的な違い(セックスsex)に対して、心理的、社会的、経済的、文化的、慣習的、宗教的に形成された性差をいう。セックスが普遍的であるのに対して、ジェンダーは時代や地域、社会によって異なる。男女間の不均衡な役割分担や力関係を是正していくためには、ジェンダーを固定化する要因に着目することが重要である。
シミュレーション(simulation)
「模擬実験・訓練」の意。問題の複雑さや危険さのために実際的な体験が不可能である事象について、仮想的な現実を模擬的に作成して体験する。そのなかでの立場や役割に応じた体験を通して、5〜6人のグループによるロールプレイと組み合わせて行う場合もある。演じる立場の理解や感情移入ができ、現実の問題の複雑さが理解できる。
ステレオタイプ(stereotype)
融かした鉛を流し込んで作った印刷用の複製版。人権学習では、偏見や決めつけによる凝りか固まった紋切り型の考え方を意味する。
ダイヤモンドランキング(diamond ranking)
問題解決法のひとつ。それぞれに優先順位をつけていくことで、解決のための視点や技能を身につけていく方法。9つの解決策をダイヤ型に並べる方法。何を優先するのかの話し合いを通して、問題のつながりや、問題解決の長所や短所が理解でき、価値の明確化や判断が得られる。指導者は、さまざまな解決策が問題に対してどのような視点や意味を持つのか明確にしておくことが重要である。
バリアフリー(barrier free)
障害者や高齢者と健常者とが分け隔てなく同じものが使え、利用できるように「障壁」をなくしこと。
ファシリテーター(facilittor)
「ものごとを楽にする、助ける人」の意。体験的参加型学習や教育の場では、参加者や子どもの学びや気づき、理解を、当事者に則して支え、助ける人である。また、心理学的には、クライアント(相談者)の内面の未分化な感情や無意識を意識化し、明確にする過程を手助けする人という意味で使われる。教育(education)は、元来、子どもの可能性を引き出す(educate)という意味である。
ふりかえり(reflection)
体験的参加型学習では、はじめに行うアイスブレーキングとならんで、重要な場面の1つ。一方通行型の講義や授業では、最後に教師が一方的に《まとめ》てしまい、参加者や子どもの疑問や感情を置き去りにしてしまうことが往々にしてある。最後の行う《ふりかえり》は、参加者の疑問や感情の起伏をお互いに分かち合い、自己や他者の理解をすすめ、学習を深めていくものである。特にオープンエンド型の学習では重要な役割を持つ。その意味ではファシリテーターの真価が問われる場面である。